【後編】不動産業に転職・就職したい人、あるいは不動産購入を考えてる人に向けた雑記

 

 はい、ということで最後です。
前・中編読み直してますが、めちゃくちゃ読みにくいですね、すみません。簡潔にすると踏み外すし、細かくしすぎると書き終わらないし自分の書く気も薄れるのでバランスが難しいところです。ともあれ残りの不動産価値について書いていこうと思います。

不動産の価値について

不動産広告で「えっ、私の家の価値こんなにあるんだ!」みたいなのあるじゃないですか。あれ誇張表現です、買った時より高いなんてほぼ無いです。

それはともあれ、日本の場合は不動産と言ったときに土地建物(上物)に分かれます。なので土地単体で取り扱ったり、登記もそれぞれで行うことが出来ます(そうせざるを得ないと言うべきか)。欧米では逆に建物が土地の附合物ということになるので、登記的には「土地買ったら家もついてきた」ということになります(国交省PDF参照)。とはいえ、日本でも建物の価値が完全になくなった不動産に関しては古屋付き土地などと呼ばれて建物は残存していても土地として扱われることもあります。

日本では登記が異なるということは、土地と建物それぞれに価値を与えるということになります。例えば5000万円の物件があったら、業者の利益を考えなければ3000万の土地価格と2000万の建物価格というふうな形になります。ここから日本の不動産価値について考えてみます。

まず土地の価格に関してです。

https://www.land.mlit.go.jp/webland/

・港区の公示価格

港区の価格は壊れてるのですが、溜池山王エリアで4,840,000(円/m²)というエリアがありますね。半畳分の面積でほぼ500万かかるらしいです、『龍が如く0』っていうゲームでは「カラの一坪」っていう場所がとんでもない価格で取引されそうだったんですが、それを思い出します。
この公示価格というのは日本の特定のエリアの土地価格になります。なので、細かい場所の単価についてはわかりませんが、大まかにはわかります。あとは周囲の不動産価格を調べていれば、およその目安はつくかと思います。細かく知りたい場合は路線価というものを用いて算出します。ただ、大抵の場合はここまで利用することは無いと思うので、付近の不動産価格・土地価格を調べれば済みますが詳細に推移など知りたい場合は不動産業者が出していたりする路線価の推移なんかを見るといいと思います。

 

建物の減価償却について

土地については先ほどの内容で価格が決定されていますが、建物(上物)に関しても考えてみると、建築費用+マージンが物件価格を決定する要素となります。更にそこに該当土地の費用を足したものが全体の不動産価格になるということです。

では、新築時がその方式だったとして誰かがその物件を買ってすぐ売りに出す場合はその新築販売時のマージンが無くなるということになるので土地代+残存建物価値が中古販売価格になるということになります。一部不動産CMでは「鍵を開けた瞬間に不動産価値は20%ダウン!」みないなことを言っていますが、つまりこれです。実際のところはマージン率にもよりますがおよそ20%程度と考えて大差はないかと思われます。

では、その建物の価値について考えてみます。土地というのは周辺環境などによって価格が決定するものの、購入から何年、何十年経過しようと劣化はしません。ただし、その地域の開発などによって土地価格が何倍にも上がるような場合は、購入時より売却時の価格のほうが高いというようなことがあり得ます。
一方で建物の価値はというと、木造建築なのか鉄筋コンクリート造なのかなどの建築方法によって異なるのですが耐用年数が定められています。

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/info/hyo01_02.pdf

例えば、日本で最も主流な木造建築の場合は法定耐用年数は22年となっています。つまり、法律上では木造の住宅は22年経てば残存価値はゼロになるということと言えます。また、不動産売却の際は算出方法によってはこの法定耐用年数をベースとして土地価格+残存建物価格によって算出することになります。

 

新築 or 中古

先ほど法定耐用年数の話を書きましたが、これは築20年の中古物件が販売されていた場合、その価格の大半が土地価格ということになります(建物の価値がほとんどゼロになってしまっているため)。

近年見かける中古+リノベーションというのはこの建物価値に着目した家探しとなっています。その地域で新築を買うのは高くて難しい、買いたい物件はあるが間取りが気に入らず他を探すとエリアがずれてしまうなど、ひとつの選択肢として主流になりつつあるような印象です。現にぼく自身も、該当地域の新築は難しくとも中古物件にある程度のリフォーム・リノベーションを加えることで住まいを手に入れたというお客さんを複数組担当したこともあります。

現在、不動産業に微塵も関わっていないので主観で考えますと、新築か中古かみたいな論争があるとき、ぼくは中古寄りです。といってもすべての中古をよしとしてるわけではなく、瑕疵と呼ばれる「シロアリ被害」「雨漏り」「土壌汚染」などの物件は絶対やめておきましょうと言います。ただ、しっかり柱や躯体が残っている物件であれば、固定資産税の面でもリノベーションをお勧めすると思います。固定資産税は新築時の状態を100%として年々下がっていきますが、物件で重要な部分である主要構造部に手を加えると評価額が同様に見直しとなり、高くなる可能性があるのでスケルトン工事やフルリノベーションなど大規模修繕等を行う場合は注意しましょう。
さて、「不動産を買います」と言ったときに何から決めるかというと、エリアでもなく、駅までの距離でもなく予算からになると思います。仮に予算が億単位でエリアが首都圏外ならば広い土地を買って注文住宅を依頼するというケースになりますが、一般的には2000~8000万の予算でファミリー層向け、つまり子どもの通学などを踏まえたエリア決定になると思います。転校させるのが嫌なので同じエリアで検討したい、通勤が今2時間かかるのでせめて1時間そこそこまでにしたい、駅まで遠すぎるので10分以内の距離にしたい、近くのスーパーや商業施設がなくなってしまったので便利なところに住みたいなど、要望はいろいろあったりしますが、予算はやはり有限、かつ銀行借り入れになることがほとんどなので自分のコントロール外になってしまうと思います。
銀行借入額に関して言えば、大手銀行の場合「額面の年収×8」くらいをベースに、現在の健康状態や就職先や雇用形態などによって前後します。公務員で勤続の長い方などはかなり伸びやすい印象です。一方、事業主の場合は事業化から3年ほどは経っていないと難しい印象があり、長い方でも直近の決算書次第な部分があります。自己決定はできないため、住宅購入を考えてる方にはまず事前審査というものを行って頂きます(基本的には不動産会社で書類やデータ入力をして後日審査結果が出る形)。そこで、希望借入額が叶うかどうか、適う場合は適応金利が通知されます。希望借入額が叶わない場合は、そもそも借入不可でなければ減額にて通知されることになります。
近年の住宅ローンは超低金利なので、変動であれば0.4~1%程度となると思います。そして事前審査をパスすれば、その通知借入額以内で物件を決定して本審査を行い、その後物件引渡(決済)まですぐ動くという流れになります。

そして、予算をもとに新築を選ぶか中古リノベーションを行うかということにおよそ大別できますが、中古リノベを選ぶ際は下記を参考にしてください。余談ですが、中古マンションを購入する場合は修繕がほぼ必須になります。

1. 予算内で希望する新築物件がない(間取り、広さ、環境、etc)
2. 他の人と同じデザイン(内装・外装)は嫌だ
3. 売却前提で考えている、ライフイベントに応じたスケジュールがある*1
4. リノベーションに強いこだわりがある
5. 中古リノベーションで検討する場合、購入する不動産会社にて住宅ローン+リフォームローンを組むことができる*2

 

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↑暈してますがスケルトン後に躯体等入れ替え含めるとこんな感じになります、断熱材丸見え

逆に言えば、上記項目にあまり引っかからなければ新築物件などを選べばよいということになります。また、リノベーション費用に関しては一概には言えないのですが、壁紙張替え、床の張替え(フローリングではなくクッションフロア)、水回り交換などの最低限を行っても300~500万ほどになり、広さに依存するためマンションと戸建で異なります。フルスケルトン工事となると1000~2000万のレンジになり、水回り設備のランクによってかなり大きく異なることになります。そのあたりはショールーム見学に行くと具体的になってくるので、リノベーションを考える際はぜひ色々回ってみてください。リノベーションの工期は仕入れ状況にもよりますが、表層であれば1週間、フルリノベーションとなると3ヶ月前後となります。工期は自由に現場立ち寄れるので、その際にイメージが浮かんできたり、追加依頼などもそこで出来たりします(追加請負になるか予算内で対応してくれるかは正直会社によります)。

さて、長々となりましたが結論はこのようになります。

1. 近年は特に物件が飽和しているので中古リノベ、あるいは新築の簡易リノベとい選択肢がある
2. 予算内で希望新築があればそちらで問題なし、なければ中古リノベの選択も
3. ライフプランに応じた住み替え(戸建→マンション)などを明確に描いている方なら、中古リノベは勧められる

回し者のようになりますが、ぼく自身は自分で買う時にも検討に入るくらい、最近のリフォームやリノベーションは色々とできます。なにか買うタイミングなどあれば、ぼくでも良いですし、最寄りの不動産屋さんに聞くと良いと思います。店舗に行くと追客されてしまうので足が重くなる理由もわかります。また細かい話は別記事に上げるかもしれません(検討する人が近くにいれば書くモチベーションにもなるんですが…体験記とすると体系的に書くことができないですね)。

それではまた

*1:建物の減価償却を考えれば、築15年などの物件購入価格は売却価格と大きな相違が起きづらいため資産としての管理がしやすい

*2:リフォームローンを別に組む場合は金利が3~4%で支払年数が最大15年などの制約を受けるため、合併ローンを利用できるところがおススメ